―――新東京都白馬区白馬駅付近
一人の少女がいた。
栗色のきれいな長髪、身長は150㎝ほどの小柄、誰もが見惚れそうな美貌をした少女が一人、必死な顔をして走っていた。
「ハァハァ・・・ゲホッゲホッ」
その少女は何かをを探しているみたいに、あちこちをキョロキョロしながら走っている。
「どこ?・・・ゲホッ・・・どこにいるの?」
少女は立ち止る。
「どこにいるの?お兄ちゃん・・・・その人はどこに・・・」
立ち止った少女の脳裏に、兄の遺言が浮かぶ。
『必ず見つけ出してくれ。その少年を・・・必ず・・・必ず見つけ出してくれ!その少年は、右腕に金の腕輪をした、銀髪が特徴なんだ・・・頼む!その少年にこれを渡してくれ』
「金の腕輪をした・・・銀髪の少年・・・」
『すまないな・・・かんな・・・お前に何もしてやれなくて・・・』
「違う・・・違う・・・何もできなかったのは・・・私だ・・・」
少女は下唇をギュッと噛み、決意する。
絶対に少年を見つけると・・・
『⁉足音が近づいてくる‼急がないと‼』
少女は、後ろから近づいてくる足音に気付き、また走りだす。
だが、駅から走って出てきた少年に気付かず、ぶつかってしまう。
「うわっ‼」
「きゃっ‼」
少女と少年はぶつかり合い、少年は転がり、少女は後ずさりした。
「ごめんなさい‼大丈夫ですか?」
駅から出て来たのは、気の弱そうな顔をした、女の子のような顔をした少年だった。
「う、うん。えっと・・・」
少年は何かを言おうとしていた。
でも、少女の後ろから聞こえる足跡は、徐々に大きくなっている。
「すいません。私は急いでいるので、お詫びはまた後日」
少女はそう言い、その場から急いで立ち去ろうとした。
だけどこの時、少女は気づいてなかった。
ぶつかった少年が、銀髪を有していたのを・・・
その少年の右腕に金の腕輪があるという事を・・・
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